払えない世帯の割合
近頃「中年破綻」「老後破綻」 「下級老人」といった言葉を耳にします。 様々なリスクが発生する年齢なのかもしれません。
住宅ローンの破綻世帯の、正確な統計データは存在していません。 住宅金融支援機構で発表している統計資料に「リスク管理債権」というものがあります。
そして、住宅金融支援機構のトラブルに関する統計を参考に、分析してみたいと思います。 同機構の平成27年度「リスク管理債権」を例にとると、次のようになります。
·破綻先債権:783億円
・繰延債権:3,413億円
・3ヶ月以上延滞債權:938億円
・貸出条件緩和債権:7308億円
·元金残高:243015億円
·比率:5.12%
・条件緩和比率:2.11%
·破綻先比率:0.32%
住宅金融支援機構では、「貸出条件緩和」 「3か月以上延滞」「延滞」「破綻」の4つに分類して集計しています。
「貸出条件緩和」は、債務者の再建及び支援を図ることを目的として、 金利の減免や利息の支払猶予、元金の返済猶予など、 債務者に有利となる返済条件の変更を行ったものです。
「3か月以上延滞」は、返済期限を3ヶ月以上経過して延滞となっている貸付けの元金残高額になります。
「延滞」は資産自己査定の結果、実質破綻先及び破綻懸念先に区分された債務者に対する 貸付けの元金残高額です。
期間としては、6ヶ月が目安になります。
最後に「破綻」は、破綻先に区分された債務者に対する貸付けの元金残高額です。
少し古いデーターですが、2015 年度のリスク債権としては 5.12%であり、
大雑把に見ると、ローン利用者の約20人に1人がトラブルを抱えています。
そのうち、返済条件の変更などで緩和されている人が 2.11%。
完全に破綻してしまった人の割合は 0.32%で、 0人に1人もいない計算になります。
物件価格の高騰と住宅ローン
国土交通省の「不動産市場動向マンスリーレポート」統計によると、 2013年の後半から地価が上昇しています。
また、同じく国土交通省の2016年度住宅経済関連データによると、 住宅ローンの年間返済額は、注文住宅・分譲住宅とも100万円以上150万円未満 が一番多く、次いで50万円以上 100万円未満となっています。
中古住宅に関してはその逆で、50万円以上 100万円未満が一番多く、 100万円以上 150万円未満が次に多くなっています。
不動産の売買価格の上昇があれば、比例して年間返済額もアップします。
同様に 2016年度の実収入の統計では、2人以上の世帯のうち勤労者世帯では、 月平均額が 526,973 円でした。
年間に換算すると6.323,676円であり、例えば先ほどの住宅ローンの年間返済額に当 てはめて、100万円以上 150万円未満だったとします。
仮に30万円の年収から150万円の住宅ローンを支払ったとしても、 480万円の生活費が確保でき、特段の贅沢や浪費がなければ十分生活していける 範囲になります。
しかし、破理由のところでもあげた、失業(リストラ)、給料や賞与の減少、予期しない病気、 離婚や別居など、予想外の出来事があればそれも崩れてしまいます。
住宅ローンを組む際にも頭金を用意するなど、 しっかり余裕をもって組むことが大切です。
それでも返済が不能になった場合に、 競売による売却の他に任意売却という方法もあります。
市場価格に近い金額で売却できるため、検討してみることをお勧めします。